新型コロナウイルス感染拡大における車中泊の危険性について

コロナ禍における災害時の車中泊避難について,当学会より留意点をお知らせ致します.以下をご参照ください.

新型コロナウイルス感染で亡くなられた方々へのご冥福と現在感染されて闘 病されている皆様へのお見舞いを心から申しあげます。 新型コロナウイルス感染では血管内に血栓ができやすいことが判明していま す。血栓が原因で死亡することのある主要な疾患は心筋梗塞、脳梗塞、肺塞栓症 (いわゆるエコノミークラス症候群)です。この中で入院をしていない新型コロ ナウイルス感染軽症者(酸素吸入を必要としない)において肺塞栓症が 6.8%に 合併していたことがパリの病院から報告されており(1)、自宅療養していた合併 症の無い 42 才の新型コロナウイルス感染者の肺塞栓症発症がサンディエゴから も報告されています(2)。日本では新型コロナウイルス感染軽症者での肺塞栓症 は報告されていませんが、その危険性は十分考慮しなければならないと思われ ます。

一方、震災後の車中泊では病気の無い被災者でも肺塞栓症を多数発症し死 亡もあったことから、新型コロナウイルス感染者が車中泊をすると肺塞栓症の 危険性がより高くなると考えられます。また、現在日本中で多くの無症状の新型 コロナウイルス感染者がいる可能性があり、無症状の感染者からも伝搬するこ とから誰もが感染する可能性があると考えられます。そこで今は、できるだけ車 中泊は避けていただくようにお願いいたします。またやむを得ず車中泊を選択 される場合には携帯電話などで連絡がすぐ取れるようにする、なるべくフラッ トな状態にして足は下げないようにする、定期的に運動する(歩く)、水分のこ まめで十分な摂取、ふくらはぎのマッサージ、可能なら弾性ストッキング(手術 後に使うものなど)や着圧ソックス(ふくらはぎと足首の圧が記載あるもの)の着用などを行い、もしも車中泊中に体調が変化した場合は速やかに家族などに 連絡し、車中泊を中止して医療機関受診などをお願いいたします。

避難所・避難生活学会理事一同

(1) Gervaise Alban, Bouzad Caroline, Peroux Evelyne, Helissey Carole, Acute Pulmonary Embolism in Non-Hospitalized Covid-19 Patients Reffered to CTPA by Emergency Department. Nuclear Medicine & Imaging online, 10.21203/rs.3.rs-26229/v1.

(2) Kyla Casey, Alexander Iteen, Reese Nicolini, Jonathan Auten, COVID-19 pneumonia with hemoptysis: Acute segmental pulmonary emboli associated with novel coronavirus infection. American J Emergency Medicine online.