私は2011年の東日本大震災を、最大の犠牲者を出した宮城県石巻市内の災害拠点病院の医師として迎えました。野戦病院と化した病院、そして被災者で溢れた避難所で災害対応に従事し、数年間被災地の現実と向き合ってきました。
その中で、命の危険を免れたはずの被災者が、劣悪な避難所環境によって健康を害し、中にはその命を落としていくことの不条理さを目の当たりにしてきました。この経験が避難所・避難生活学会設立に参画した動機となりました。
この避難所・避難生活学会は関連死を出さない安全な避難所環境と、尊厳ある避難生活が我が国の標準となることを目指して、様々な分野の実務家による学際的、業際的な協働を推進してきました。
これまでも多くの方々のご尽力に支えられてきましたが、この学会が目指すところを達成できるよう、尚一層皆様のお力添えを賜りますようお願い申し上げます。
一般社団法人 避難所・避難生活学会 代表理事 植田信策