代表理事挨拶

避難所・避難生活学会代表理事就任の挨拶

このたび、当学会の代表理事に就任致しました水谷嘉浩と申します。就任にあたりご挨拶を申し上げます。

 2011年3月11日、私は東京で東日本大震災の激しい揺れを体験しました。テレビで津波の衝撃的な映像を目の当たりにし、「自分に何ができるだろうか?」と考え続けました。その後、避難所で多くの住民が寒さで亡くなっていることを知り、段ボールベッドを考案。また雑魚寝によるエコノミークラス症候群などの健康被害も多発していましたので、避難所に届ける活動を始めました。「ストップザ雑魚寝!」の取り組みです。同時に、速やかに避難所に段ボールベッドを届けるため全国の自治体に防災協定を拡げる活動を始めました。

2012年7月、イタリアのエミリア・ロマーニャ地震の被災地を訪問して避難所を視察しましたが、十分な数の使い易いトイレ・シャワーや、キッチンカーで温かい料理の提供、ベッドの設置されたテントに家族で生活できる快適な環境。これらは全く我が国の避難所では見られないとても先進的な素晴らしい環境でとても驚きました。イタリアでは避難所で亡くなるいわゆる災害関連死はあり得ない、たった1人も犠牲にしないことが支援者の間で共通認識になっていると知り、さらに驚きました。

我が国の避難所も、雑魚寝の解消だけでは災害関連死は無くならないと感じ、2015年に避難所環境の問題を解決するために当学会の設立を呼びかけました。私達はイタリアの教訓から、「TKB48」を掲げています。これは、トイレ、キッチン。ベッドを48時間以内に避難所に導入すると言う意味です。避難所の環境整備を通じて、避難者の身体的・精神的負担を軽減し、災害関連死を予防することが目的です。

今後、予想される大災害に対して、我々は無力かもしれません。しかし、出来ることは必ずあります。私達は避難所環境の改善を通じて「災害関連死ゼロ」を目指して努力してまいります。皆様の力強いご指導ご協力を賜りますよう心からお願い致します。

 

一般社団法人避難所・避難生活学会 代表理事 水谷嘉浩

一般社団法人避難所・避難生活学会 代表理事 水谷嘉浩