避難所・避難生活学会からの緊急提言

令和元年6月14日
避難所・避難生活学会
理事一同

 

避難所・避難生活学会からの緊急提言

 

平成が終わり新しい令和の時代が始まりました。穏やかに時代の移行がなされたわけですが、振り返ると平成は災害が多発した時代でもありました。雲仙・普賢岳噴火に始まり北海道南西沖地震、また近代における初めての大都市型災害である阪神淡路大震災、未曾有と言われた東日本大震災や震度7を二度観測した熊本地震などです。さらに平成の終わりには、大阪北部地震、西日本豪雨、北海道胆振東部地震が立て続けに発生して、息もつかない様相にもはや我が国はどこに住まいをしていても災害とは無縁ではいられないと思わざるを得ません。一方で、わが国の避難所はこの100年近く変わりなく、諸外国の避難所と比較しても著しく劣悪な環境であり、平成の30年間で災害関連死が約5,000名にも上ったことが報道されています。そのような中、西日本豪雨、北海道胆振東部地震では新しい避難所整備の観点も見えてきました。さらに次の大災害も予想される今、新たに国民保護の観点を持ち、避難所のあり方を根底から変えていく流れを加速しなければなりません。これ以上災害関連死を出さない為に、以下に当学会から緊急提言を発信します。

 

 

防ぎ得た死を防ぐために「昭和型防災から平成の変革期を経て令和型減災へ」

 

1。災害救助及び被災者支援における「T K B」(清潔で誰もが使える水洗トイレ、キッチンカー等による適温食の提供、簡易ベッド等による避難所環境の整備)の運用を我が国の標準とし、備蓄の推進と全国的に均てん化した供給体制及び受け入れ体制を、既存の災害法制度及び予算措置の大幅な拡充と底上げを図ることにより、国および自治体に置いて構築する。

2。災害時の指導力強化と平時の減災準備及び訓練を目的とし、人員の確保と権限および機能の拡充を実現すべく、既存の防災・復旧・復興・生活再建支援機能を統合した、新たな省庁の創設とその地方実働組織を構築する。

3。オールジャパンの災害支援体制を確立するために、職能を活かした災害支援を組織的に行う登録制の職能支援者制度を関係各業界内に構築し、新たな省庁において一元的に志願する団体および個人を登録・管理・派遣・教育・訓練等する体制を構築する。

以上